プラセンタが注目されている理由は?

成長因子と豊富な栄養素が含まれている

胎盤にはロイシン、リジン、イソロイシンなどの必須アミノ酸をはじめ、グリシン、アラニン、アルギニンなど10数種類のアミノ酸、アルブミン、グロブリンなどのタンパク質、コレステロールなどの脂質、グルコースなどの糖質、ビタミン類、カリウム、カルシウム、マグネシウムなどのミネラルなどが多く含まれていることが分かっています。また、遺伝子の修復や、新陳代謝の調整に関わる核酸、そして抗酸化物質のキサンチンも多く含まれています。

さらに、プラセンタの成分として注目されているのが成長因子です。これは、HGF(肝細胞増殖因子)、EGF(上皮細胞増殖因子)、NGF(神経細胞成長因子)、FGF(線維芽細胞増殖因子)など、特定の細胞の増殖や分化を促進する成分で、細胞の新陳代謝を促すスイッチのような役割を果たしています。

これら細胞の成長や新陳代謝に関わる成分が多く含まれていることから、医療や美容などの分野においてプラセンタが注目されているのです。

医療分野では治癒促進などの目的で活躍中

プラセンタに多く含まれる成長因子は新陳代謝を高め、自然治癒力を高めると考えられています。そのため、傷などの早期治療のために局所注射で投与されています。

医療用に用いられているプラセンタは、厚生労働省から認可されたヒト由来のプラセンタ注射薬。日本で認可されているのは「ラエンネック」と「メルスモン」の2種類です。これらの医療用プラセンタ注射薬はホルモンなどの生理活性物質やタンパク質は製造過程ですべて除去されていますが、投与すると献血ができなくなるなどの制限が設けられています。

また、プラセンタの投与によって自然治癒力が高まれば、さまざまな身体の機能を元に戻したり・正常化すると考えられます。そのため、形成外科や美容外科などの他、女性の更年期の症状を緩和する働きがあるとも考えられています。

サプリメントや化粧品の成分としても人気

現在、サプリメントやドリンク、化粧品など、さまざまな形でプラセンタ配合の製品が発売され、人気を集めています。しかし、実は日本でプラセンタが注目を集めたのは意外と古く、第二次世界大戦末期にはすでにプラセンタを含む経口栄養剤が開発され、全国で販売されました。これによって、妊婦の母乳分泌不全と新生児の死亡率改善に大きく貢献したと言われています。

医療用のプラセンタはヒト由来の胎盤が用いられますが、サプリメントや化粧品、ドリンクなどに用いられているプラセンタの原料は豚や豚や馬など動物の胎盤です。 かつては牛の胎盤由来のプラセンタが用いられていたことがありましたが、BSE(狂牛病)の発生にともなって使われなくなりました。いずれも原料でも、製造工程では微生物の有無のチェックや滅菌処理などが行われ、安全性が保たれています。